冠詞の「the」と「a」の違い。
冠詞の有無で意味が変わる英文。
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冠詞 は日本語には無い品詞の代表で、日本人にはどういう状況で冠詞が付くのか判断が難しい。
冠詞が付くにしても、「the」と「a」のどっちを使えば良いのかとても分かりづらい。
要点
冠詞のtheは皆が等しく具体的にイメージできている人や物に使う
冠詞のaは本人にのみ具体的にイメージできている人や物に使う
冠詞は固有名詞や所属が明示されている名詞には使えない
theとaについてざっくり
冠詞を日本語訳することは稀だが、無理やり訳すなら「the=(ご存じの)あの」で「a=とある」になる。
しかし具体的な言葉として捉えるよりむしろそのニュアンスを把握した方が正しい理解ができる。
「本人以外」という部分が肝になっている。
また同時に、theには「唯一無二の」、aには「一つの」という意味も隠れている。
つまり両方ともbooksやapplesといった複数形の名詞には付けることができない。
冠詞がつけられない名詞
冠詞は固有名詞や所属が明示されているのもには付けることができない。
冠詞を考える上で可算名詞と不可算名詞という概念がとても重要になってくる。
加算名詞とは数えられる名詞、不加算名詞とは数えられない名詞を表す言葉のこと。
例外があるものの、冠詞は基本的に加算名詞にしか付けることができない。
下の文はその一例。
We play baseball everyday. = 私たちは毎日野球をするよ。
I ate
the
pie mom made me. = 母さんが作ってくれたパイを食べたよ。
baseballは不可算名詞。baseballは遊ぶためのルールであって、これに対し「2つの野球」といったような数え方はしない。
対してpieの方は可算名詞で、「2つのパイ」という表現をしても何ら違和感がない。
上の例文ではthe pieという「ご存じのあのパイ」という表現をしている。
恐らく話者が話かけているのはパイを作ってくれた母親自身と思われる。唐突に関係ない人に「the pie」と言う可能性は低い。
冠詞の有無で意味が変わる文
もし固有ではない一般的な名詞で、かつ加算名詞なのに冠詞を付けなかった場合どうなるか。
それは実在する物体ではなく抽象的や概念やカテゴリの話になってくる。
例えば以下の2つの例文は、冠詞を付ける時と付けない時で大分意味が変わってくる。
"Yes," said Romeo. "I love
a
women." =「そうだ」ロミオは言った。「私には好きな女性がいる」
"Yes," said Romeo. "I love women." =「そうだ」ロミオは言った。「私は女性が好きだ」
下の方のロミオはただの無節操な男になっている。
さらに詳しくニュアンスを翻訳すると次のようになる。
"Yes," said Romeo. "I love
a
women." =「そうだ」ロミオは言った。「私には
(とある)
好きな女性がいる」
"Yes," said Romeo. "I love women." =「そうだ」ロミオは言った。「私は女性
(というカテゴリ)
が好きだ」
「a women」というのはつまり、まだ周囲とイメージを共有できていないものの、ロミオ本人の中では具体像を描いてる一人の女性のことを指す。
対してただのwomenは女性という概念やカテゴリを指す。
不可算名詞は本来冠詞を付けることができない。
だが具体的なイメージや事柄を強調したい時には冠詞を付けることがある。
ここでキング牧師の言葉を引用してみる。
I still have
a
dream . = それでも私には夢がある
「dream」は不可算名詞ではある。
しかし「a」という冠詞をつけることによって、「キング牧師の中では具体的で明確な夢」という意味に文が強調されている。
楽器には冠詞が付く問題
よく英語を勉強する際の障害となる部分に、楽器に対しては文法的に不可解な「the」がつくという問題がある。
I can play
the
piano. = 私はピアノを弾けるよ。
普通こういう文で「the」を付けると、「あなも私もご存じのあのピアノを弾けるよ」という意味になりそうではある。
しかし現実にはこの文章は「私はピアノというカテゴリを弾けるよ」となる。
では楽器ではなく文房具に置き換えるとどうなるか。
I have
the
pen. = 私は
(ご存じのあの)
ペンをもってるよ。
通常の冠詞のルールが適用されて、ここで言うペンはその場では皆に周知されているペンという事になる。
これは英語で有名な謎ルールのひとつで、理屈ではなくパターンとして無理やりねじ込むしかない。
言語の学習ではたびたびこういう例外ルールが発生する。